レンジフードと光熱費

残暑が厳しく…と挨拶を始めようと思ったのですが、今年は例年に比べ、雨の日が多い夏でした。数十年前に比べると、温暖化の影響を受け、地球規模で気候に大きな変化がおとずれています。

大きな変化という意味では住宅・建築業界も同じです。この数十年の間に建築基準法が変わり、どんどん新たな工法や体にやさしい素材、便利な設備が登場しています。

より快適に、より安全に・・・住まい方そのものが大きく変化しているのです。

そんな変化の中で今回のテーマはキッチン。と言ってもキッチン設備の紹介ではなく、キッチンにあるレンジフード(換気扇)が室内の空気環境に大きな影響を与えるというお話です。

 

■レンジフード(換気扇)を使うと損!?

どのご家庭にもあるレンジフード。「強運転」の換気量は400~600m3という膨大な量の室内空気を外に出すことになります。(※24時間換気システムのちょうど3~4倍に匹敵します)

冬場のLDKは一般的に締め切られています。多くの一般住宅は気密性能が優れているわけではありません。比較的多い20畳前後のLDK(もしくは+和室)だけでレンジフードから400m3もの換気量を出すことになるのです。

 レンジフードの作動時は、せっかく温まった室内の大量の空気を外に出してしまいます。さらに家の様々な隙間からも冷気が入ってきて、居住者のいる場所をまともに通過します。気流感が不快なのはもちろんのこと、冷たく比重が重い冷気で足元が特に冷やされます。そうすると不快なので、エアコンの設定温度を上げるか(上げてもほとんど効かないことはありますが)、こたつや電気ストーブ、ホットカーペットといった極めて効率の悪い暖房器具に頼らなければ我慢できないレベルになってしまいます。

 もちろん、こうした悪影響は冬に限ったことではありません。夏の冷房時も同じです。冷房時は、暑く湿った外気がどんどん入ってくるということになります。

 

上記の内容を踏まえると、住宅の気密性・工法等にもよりますが、結果として、レンジフードを使うことでより多くの電気代がかかってしまうのです。その金額は月に4,000円、年間にして約50,000円とも言われています。

 

一番即効性があるのは、レンジフードを“同時給排気型”にすることです。

それができない場合はレンジフードの近くに専用の給気口を設けるだけでも効果的です。これが実現できれば、住宅の快適性はアップする一方で、光熱費は下がるので、まさに住む方にとって良いことづくめです。