2020年東京オリンピック。世界は日本にどんな視線を注ぐのか?!

いきなりで恐縮ですが、2020年東京オリンピック。日本は世界にどんな姿を発信し、世界は日本にどんな視線を注ぐのでしょうか。

 翻って日本の住宅の話。奇しくも、2020年 日本の新築戸建住宅の考え方が大きく変わります。あくまでも制度の話としてですが・・・。それまでは一般的な規模の新築戸建住宅を建てる場合に省エネ基準適合の届出義務はありません(一部の建売は除きます)が、2020年にそれが今の確認申請と同じように義務化されます。

 あくまで制度の話と申したのは、住宅の考え方がそこで劇的に変わるわけでないということです。現時点で、2013年10月に施行された省エネ基準、いわゆる平成25年基準(改正省エネ基準)をベースの考え方として、任意の報告をすることによる補助金交付や所得税の控除等のインセンティブがあります。

 2020年時点でも、ベースの考え方となるのはこの平成25年基準となる可能性が高く、あくまでも今から段階的に浸透させようという狙いがあるようです。その終着点として2020年があり、そこからはインセンティブなしで義務化されるというものです。

 これは、世界の動きからすると遅れをとっているということが言えます。住宅における省エネという価値観、はたまた家庭生活における省エネの意識、これらの根底にある新築戸建住宅の省エネ基準適合義務といった国の働きかけは、他の先進国ではこちらが思っている以上に進んでいます。欧米はもちろん、アジアの中国や韓国でも、国として、このような「インセンティブ(動機づけ)」ではなく「働きかけ」をしているのです。

 日本に、他の先進国に多い寒冷地より、比較的温暖な地域が含まれるということを加味しても(日本にももちろん寒冷地はあります-北海道、東北等、また先進国にも温暖な地域はあります-スペイン、ポルトガル等、そして温暖な地域でも夏季の冷房負荷という純然たる省エネの問題があります)、このような事実は私たちに切実な問題を投げかけます。

 元来日本人のエコ意識は高いと言われます。しかしそれはあくまでも生活者目線でのものです。近代的な科学的アプローチに基づく省エネ・エコ意識とはまた別の観点・価値観、文化的なアプローチとでも言えるでしょうか。その根底にある自然信仰の精神が、「夏を以って旨とすべし」という高気密高断熱とは正反対の住宅の考え方を生み出しました。しかし、冬はどうするかというと、ガマン、ひたすらガマン。そこまでは生活文化として昇華しているうちはよかったのですが、暖房設備が発達した今はというと、隙間の多い家の中で原発の威力にモノを言わせてエネルギーの使い放題。まさに悪循環だと思えてなりません。そこにはもちろん生活文化の香りも何もありません。

 私たちは、エコ意識の低下と共に生活文化のペーソスも失ってしまったのでしょうか。もちろん、そう信じたくありませんよね。高気密高断熱の家で、高いエコ意識のもと、暮らしを愉しむ、家族とのお家での時間を楽しむ文化をもう一度取り戻しませんか。・・・国の働きかけでなく、自らの意思で・・・。